KYOTO BACH SOLISTEN バッハ作曲「ヨハネ受難曲」第2部 2023/03/21 京都市 洛陽教会 於
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- Опубликовано: 25 янв 2025
- 楽曲解説
「ヨハネ受難曲」は、バッハが新約聖書の「ヨハネによる福音書18~19章」 にある受難記事を題材として作曲し、彼が終生活躍することとなるライプツィヒに移ってきた翌年の1724年、39歳の年に、この地の聖ニコライ教会で初演されています。その後4回にわたって改訂されていることが判明していますが、 本日の演奏も含め、現在演奏されるもののほとんどは1794年の最終改訂版によっています。4回もの大幅な改訂を経た最終改訂版では、何か所も初稿とほとんど同じ内容に原点回帰しており、バッハがこの受難曲を自身の重要な作品、あるいは相当な自信作と考えていたことが伺えます。
受難曲は本来聖書朗読に代わるものです。典礼という一つの形式の中での音楽であり、 聖書の一つ一つの場面をどう表現してどう変化するかを、音楽的に表わす目的を持っています。
曲の構造を簡単に俯瞰してみましょう。
楽曲では、テノールソロによる福音史家のレチタティーヴォを通して、聖書の中の文言が一言一句もれなく盛り込まれています。イエスの言葉は特別にバスによって歌われ、その間に合唱、アリア(アリオーソ含む)、コラールが挿入されて彩りを加えるという形です。
各々の役割をみると、合唱は群衆や個人の登場人物の話し言葉を担当、アリアは、受難の章句に由来せず新たに詩作された抒情的な歌詞を用いて個人の感情的なものを表現し、賛美歌に基づくコラールは宗教的気分と敬虔な感情を表しています。また、通常受難曲は一部と二部に分けて演奏されますが、これは当時その間に牧師の説教が入っていたからで、このことから、庶民にキリスト教の普及を促すという実用的な面も伺えます。
注目していただきたいところは、ヨハネによる福音書を題材にした作品であるにもかかわらず、曲中2箇所にマタイによる福音書の内容が取り入れられている点です。第1部のペテロの慟哭の部分、及び第2部のイエスの死後の天変地異の部分がそれで、いずれも、より劇的な効果を作品に与えるためと考えられます。
「ヨハネによる福音書」では、十字架、即ち受難が神の計画の成就の証として捉えられています。「ヨハネ受難曲」は、人間が本性として愚かさを常に持っていることや、罪深い存在であることをリアルに表してくれます。イエスは自ら十字架の刑を受け入れ、全ての人間が犯した罪と悪を赦し、そして「(神の御心が)成し遂げられた」と神の御国に旅立たれるのです。我々が最期の時となっても復活の道を約束して下さるのです。